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2004年9月 8日
わかる唯識
「わかる唯識」を読んだ。今後の復習のため、内容をまとめておく。
- わかる唯識 岡野守也 著
唯識とは仏教の深層心理学である
煩悩
煩悩=心の表面に浮かんでくる悩み
隋煩悩
ありふれた付随的な悩み
表記 | よみ | 意味 |
---|---|---|
忿 | ふん | いかり |
恨 | こん | うらみ |
覆 | ふく | ごまかし |
悩 | のう | なやみ |
嫉 | しつ | ねたみ |
慳 | けん | ものおしみ |
誑 | おう | だますこと |
諂 | てん | へつらい |
害 | がい | 傷つけること |
驕 | きょう | おごり |
無慚 | むざん | 内的無反省 |
無愧 | むき | 対他的無反省 |
掉挙 | じょうこ | のぼせ |
昏沈 | こんじん | おちこみ |
不信 | ふしん | まごころのなさ |
懈怠 | けだい | おこたり |
放逸 | ほういつ | いいかげんさ |
失念 | しつねん | ものわすれ |
散乱 | さんらん | 気が散っていること |
不正知 | ふしょうち | 正しいことを知らないこと |
根本煩悩
隋煩悩を「症状」とすれば、根本煩悩は「病因」
表記 | よみ | 意味 | 詳細 |
---|---|---|---|
貪 | とん | むさぼり | 「自然な欲求」ではない、「病的な欲望」 |
瞋 | しん | いきどおり | 過剰な自己防衛、攻撃性 |
癡 | ち | おろかさ | 人生の肝腎なことを知らない、無知→(参照:智慧) |
慢 | まん | たかぶり | 自分と人を比べる心。いきすぎた優越感、いきすぎた劣等感 |
疑 | ぎ | うたがい | 考え方、生き方が定まらない、迷っている、ためらっている態度 |
悪見 | あっけん | あやまった見方 |
|
さらに深い根本煩悩がある
表記 | よみ | 意味 |
---|---|---|
我癡 | がち | 無我ということへの無知 |
我見 | がけん | 自分にこだわるものの見方 |
我慢 | がまん | 自分を誇り、頼ること |
我愛 | があい | 自分に執着すること |
善
表記 | よみ | 意味 | |
---|---|---|---|
信 | しん | まごころ |
|
慚 | ざん | 内的反省 | ←→無慚 |
愧 | き | 対他的反省 | ←→無愧 |
無貪 | むとん | むさぼらないこと | ←→貪 |
無瞋 | むしん | いきどおらないこと | ←→瞋 |
無癡 | むち | おろかでないこと | ←→癡 |
精進 | しょうじん | 努力 | |
軽安 | きょうあん | 爽やかさ | |
不放逸 | ふほういつ | なまけないこと | ←→放逸 |
行捨 | ぎょうしゃ | 平静さ | |
不害 | ふがい | 傷つけないこと | ←→害 |
善の概念は煩悩に対する否定の形で表されるものが多い
八識
凡夫(普通の人)の心の仕組み。六識→マナ識→アーラヤ識と三層構造になっている。
六識
「眼耳鼻舌身意」
五識(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚/身体感覚)+意識
マナ識
深層自我識。四つの根本煩悩の働きが潜んでいる。
アーラヤ識
いのちに執着する心の底の働き。
煩悩の種子、覚りの種子を蓄える。
四智
八識が転換して四智を得る事が覚り。「転識得智(てんじきとくち)」
表記 | よみ | 意味 | |
---|---|---|---|
大円鏡智 | だいえんきょうち | 全てが一体である宇宙のあるがままを感じる | <アーラヤ識 |
平等性智 | びょうどうしょうち | 皆が等しく一体で自分と他人を区別しない心 | <マナ識 |
妙観察智 | みょうかんざっち | 全ては一体であるが、現れの上で仮に分かれているということを観察・洞察できる智慧 | <意識 |
成所作智 | じょうしょさち | その時その場にふさわしい事を成し遂げる智慧 | <五識 |
三性
ものの見え方の三つの性質
表記 | よみ | 意味 |
---|---|---|
遍計所執性 | へんげしょしゅうしょう | あらゆるものが分かれていると考え思い込んでいる心の状態 |
依他起性 | えたきしょう | 世の中のものは皆、ご縁・関係性によって起こるというものの見方 |
円成実性 | えんじょうじっしょう | 全てのものは元々は一体であるという見方 |
凡夫はばらばらの世界から縁が起こると考えるが、仏は一つの世界から仮に分かれてご縁ができると感じる。
┌ 遍計所執性 凡夫-八識│ ↓ ├ 依他起性(凡夫と仏に共通の世界) 仏-四智│ ↑ └ 円成実性
五位
凡夫→菩薩→仏という成長の段階
表記 | よみ | 意味 |
---|---|---|
資糧位 | しりょうい | 修行の旅の資金や食料を準備する段階 |
加行位 | けぎょうい | 実際の修行を加えていく段階 |
通達位 | つうだつい | 覚りの第一歩に到達した段階 |
修習位 | しゅじゅうい | いっそう修行し習って身につけていく段階 |
究竟位 | くきょうい | 究極の段階 |
六波羅蜜
大乗仏教の基本的な実践の方法
表記 | よみ | 意味 |
---|---|---|
布施 | ふせ | 人に施す→固定的・実体的な自分も他人もないと実感してさわやかに自然に生きる ※無財の七施 |
持戒 | じかい | 修行の助けになる事はやる、邪魔になる事は避ける |
忍辱 | にんにく | 侮辱・迫害などを自分の一部ととらえ、自分全体が堪える |
精進 | しょうじん | 何を優先するかよく考え、脇目もふらずまっしぐらに努力する |
禅定 | ぜんじょう | 心を安定・集中させると、だんだんと一つの世界が見えてくる
|
智慧 | ちえ | 学んだことを頭・意識で理解し、他の五波羅蜜(特に禅定)を実践しながら、実感する |
- 無財の七施
- 財力・実力がなくてもできる布施
- 眼施…人を優しい眼で見る
- 和顔施…やさしい顔をする
- 言辞施…やさしい言葉をかける
- 身施…体を使ってできることをする
- 床座施…席をゆずる
- 心施…心で思う
- 房舎施…宿を貸す
2004年9月 8日